2025/09/29
vol.13 楽しさを原動力に、現場を走り続ける
楽しさとワクワクを原動力に
ひかり工務店で数多くの現場をまとめてきた現場監督・牝小路。
「楽しい」「ワクワクする」そんな気持ちを原動力に、十数年ものあいだ家づくりに向き合ってきました。現場に立つたびに新しい発見があり、難しさの先には必ず喜びがあるといいます。
今回は、そんな彼の歩みと情熱を追いました。
29歳、遅咲きのスタートライン
牝小路が建築業界に飛び込んだのは、29歳のときでした。
それまでの彼は、アルバイトや契約社員として職を転々とし、生活のために働く日々を送っていました。どの仕事も長く続ける理由を見つけられず、「楽しい」と感じられることはなかったと振り返ります。
「20代は正直、“ただお金を稼ぐため”に働いていました。やりたいことが分からないまま、ただ時間が過ぎていました」
そんな彼が初めて自分の人生を真剣に考えたとき、頭に浮かんだのは、模様替えやインテリアを楽しんでいた自分の姿でした。
「住まいに関わる仕事がしたい」その想いを胸に、インテリアデザインの学校へ進む決意をしたのです。


学校での一年間は、知識ゼロからの挑戦でした。
図面の描き方、空間の見方、建築の基礎知識。すべてが初めてで、ついていくのに必死でした。朝から夕方までは学校、夕方から夜は生活費を稼ぐためのアルバイト。アルバイトが終われば課題に取り組み、気づけば徹夜という日も多かったといいます。
ただ、一年間で広く浅く学んだ知識だけでの就職活動は、決して容易ではありませんでした。
「年齢もありましたし、この一年だけの勉強で本当にやっていけるのかと、なかなか採用してもらえませんでした」
それでも諦めることはありませんでした。建築の仕事に関わりたい一心で挑み続けた末に、現場監督としてのスタートラインに立つことになったのです。
初めての現場で芽生えたワクワク
そうして迎えた初めての現場。
当初は設計士を志していた牝小路にとって想定外の道でしたが、「まずは現場を知りなさい」という意図のもと任された配属だったといいます。
「全く何もわからない状態で進められたんですけど、それが逆に面白かった。家ができていく過程を肌で感じられて、ワクワクしました。」


基礎が打たれ、柱が立ち、少しずつ家の姿が立ち上がっていきます。
ゼロから形が生まれていく現場に立ち会えることが、これほど楽しいとは思わなかった。
「お金を稼ぐために働いていた20代の頃」とのギャップは大きく、初めて「好きな仕事に出会えた」と実感した瞬間でもありました。
そこからは夢中で走り続けました。現場で汗を流し、時に判断に迷いながらも仲間と力を合わせ、一つの家を完成させていく。その達成感は「これまで味わったことのないものだった」と語っていました。
気づけば10年間で130棟以上の家づくりに携わっていた牝小路。
20代の自分が思い描くことのできなかった日々が、目の前に広がっていました。
10年を経て、新たなステージへ
長く現場に立ち続ける中で、少しずつ思うこともあったそう。
「毎日楽しく仕事をしていたけれど、どこかでやりきった感覚もあって。もっとデザインにこだわる家づくりがしたいという思いが強くなっていました」
そんな時に出会ったのが、ひかり工務店。
素材やデザインにこだわり、住まいを“作品”のように仕上げていく家づくり。その姿勢に強く惹かれ、牝小路は新たな挑戦を決意しました。


入社後の現場は、前職とは使う素材も納まりも全く違い、新しい発見の連続だったといいます。戸惑いもありましたが、それ以上にワクワクが勝つ毎日。「インスタで見ていたような憧れの家が、自分の現場で形になっていく。新しい挑戦に心が躍りました。」
さらにリノベーションの現場にも携わるようになりました。既存の建物を活かしながら新しい価値を吹き込む難しさがある一方で、それこそが面白さだと牝小路はいいます。
「リノベーションは新築とはまた違う楽しさがあります。ややこしい分だけ、完成した時の喜びは大きいですね」
新築もリノベーションも、それぞれに違う楽しさがある。だからこそ飽きることがなく、毎回新鮮な気持ちで現場に立つことができるのだと話します。
難しいほど楽しい―納まりにかける想い
牝小路が現場で特にこだわるのは「品質」と「納まり」です。
まずは、しっかりと品質が確保されているかを確認しながら、次の工程へと進めていきます。見えなくなる部分こそ、丁寧にチェックすることを欠かしません。
そして、もう一つのこだわりが「納まり」です。
「もっとこうしたほうが綺麗に仕上がるのではないか、と意識しながら図面を見るようにしています」と牝小路は話します。
図面に描かれていない部分の納まりひとつで、家の仕上がりが劇的に変わるわけではありません。けれど、そうした細かな部分をどう整えるかで、完成度や印象は確かに違ってきます。だからこそ牝小路は、その細部を意識し、大切に仕上げていきたいと考えているのです。


設計士の図面を読み取り、インテリアコーディネーターの意図を汲み、職人に伝える。現場監督は、まさに家づくりの“バトンパス”の役割を担っていると彼は語ります。
「全員で繋いでいくからこそ、一棟ごとに違う家が生まれる。注文住宅に“同じ家”はひとつもありません。それが面白さであり、僕が現場に立ち続ける理由です。」
現場を愛し、仲間を想う
牝小路には欠かさない習慣が。それが現場のトイレ掃除です。
「汚いところは汚くしていい、そんな空気を作りたくない。職人さんにも気持ちよく働いてほしいし、お客様が来ても胸を張れる現場にしたい」
整理整頓された現場は品質や安全に直結します。小さな習慣の積み重ねが、全体のレベルを底上げする。現場をきれいに保つことは、お客様への礼儀であり、職人さんへの思いやりでもあると話していました。


「好き」に出会えた幸せ、そしてこれから
振り返れば、20代の頃は職を転々とし、ただ生活のために働いていたといいます。
しかし建築と出会ってからは、日々が一変しました。
「現場に行くのが楽しみなんです。難しい課題があっても、全部含めて面白い。だから十年以上も続けられているんだと思います」
そしてこれからも、挑戦は続きます。
「一棟ごとに違う挑戦がある。それが建築の面白さ。だから今もワクワクしながら現場に立てるし、これからもずっとそうありたいです。」
職を転々としていた牝小路が、建築一筋で十数年も走り続けてこられた理由。
それは、ようやく“好きな仕事”に出会えたから。
取材を通じて感じたのは、牝小路の人生の軸にはやはり「楽しさ」や「ワクワク」があるということでした。
難しさの中に面白さを見出し、そこから次の挑戦へと踏み出していく力。
深く、強く、まっすぐに。自分の「好き」を追い求め、その姿に自然と人が惹かれて集まってくる。話を聞きながら、こちらまで心が弾むような気持ちになりました。
きっとこれからも、彼はそのワクワクを原動力に、日々の現場に向き合っていくのでしょう。

次回のコンテンツは10月13日です。どうぞお楽しみに。

