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2025/05/05

vol.3 設計士濱田の、人生を変えた本

『本を読むことはただの情報収集ではなく、むしろ人生の道しるべとなるような、何か大切なことを教えてくれる存在』

そう語ったのは、当社で設計を担当する濱田。

彼の手掛けるお家には、お客様の要望に加え、常に彼の深い知識と独自の視点が色濃く反映されています。

今回はそんな濱田が人生の中で大きな影響を受けた本や、心に残る名著を紹介しながら、どのように彼の人生が、そして設計への想いが形作られていったのかを語ってもらいました。



『お気に入りの本を3~4冊持ってきてほしいです』とお願いしたところ、なんと50冊以上もの本を持ってきてくれた設計士濱田。

その姿を見た瞬間、彼の人生の中で本がいかに深い影響を与えてきたのかがひしひしと伝わってきました。

沢山の本の中で、まず初めに紹介してもらったのは「建築のエッセンス / 著:齋藤裕」


この本は現在廃盤だそうですが、あまりにお気に入りすぎて、なんと3冊も購入したとのことです。
1冊はお家に、1冊は会社に、1冊は建築士をされているお客様にお渡ししたという生粋のお気に入り。

世界を旅した建築カメラマンの二川さんと、世界中の建築に精通する建築士の齋藤さんによる、対談形式の1冊。

建築に関する様々なテーマに沿って、2人独自の視点で繰り広げられる会話劇は、濱田にとって考え方の幅を広げる大きな影響になったそう。

『「建築とはこう考えるんだ」を教えてもらった本です。』と話す濱田。
彼自身何度も読み返しており、建築に携わる人やこれから始める人にはぜひ読んでほしい1冊だそうです。

濱田が建築を志すきっかけとなった人物は、あの名建築家・安藤忠雄さん。


服と音楽が好きで、京都の古着屋で働いていた20代、安藤忠雄氏設計の「Time’sビル」という建物に感銘を受け、26歳から建築の専門学校に通い始めたそう。

建築に魅力を感じ始めてからは、これまで多くの時間とお金を費やしてきた洋服や音楽から、思い切って建築へと方向転換。

自身の古着屋を開こうと貯めていたお金も、専門学校への進学資金として使う決断をしたとのことです。


安藤忠雄さんのおすすめする本は片っ端から購入しているという濱田から2冊目に紹介された本は、その中での1番のお気に入り
「粗い石 / 著:フェルナンプイヨン 訳:荒木亨」

「ル・トロネ」という実在する教会をモデルに、教会が出来上がるまでの葛藤や軌跡を日記形式で描いた1冊。

舞台はフランスの山奥。厳しい環境で次々と人が亡くなりながらも、設計士である牧師の要望に応えるため試行錯誤する人々の描写から、ものづくりの大変さや、ものづくりに対する姿勢を学ぶことができたという濱田。

本からは彼が何度も手に取って読み返してきた痕跡が感じられると共に、深い愛着のある大切な1冊であることが伝わってきます。

3冊目は少し意外な、建築には直接関係のない本でした。


京都に住み始める前、濱田は富山県の大学で地球科学を学んでいたそう。
生まれは福岡の濱田が「地球科学を学びたい」と富山に移動するきっかけとなったのがこの1冊、
「旅をする木 / 著:星野道夫」

写真家・星野道夫さんが、厳しくも美しいアラスカで、自然や動物、先住民たちと共に過ごした日々を綴った1冊。

その中でも、濱田がお客様にプレゼンをする際に引用するほど好きな一節があるとのことで、紹介してもらいました。

ー東京であわただしく働いている時、その同じ瞬間、もしかするとアラスカの海でクジラが飛び上がっているかもしれないー

ーぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは天と地の差ほど大きい。

「旅をする木 / 星野道夫」p.130-131

この一節を設計のプレゼンテーションで引用した濱田は、家の中にいながらも窓の外に広がるもうひとつの時間を意識することで、心豊かな暮らしが生まれることをお客様に提案したとのことです。

家の性能やデザイン面だけではなく、住む人の暮らし方や心の在り方まで深く考え抜かれたそのお家は、まさに彼だからこそ生み出せたものだったのだなと、その深さに感動を覚えました

今回ご紹介した本以外にも、濱田が弟子として学んだ建築事務所の師匠が書いた本や、その師匠から勧められて読んだ本など、彼の人生を形作った数々の本について、10冊近く語ってくれました。

そしてこれらの本を通じて、彼の設計に対する深い思索と、日々の実践に裏打ちされた哲学を垣間見ることができたと同時に、彼の人柄を深く知ることができました。

建築とは単に空間を作ることではなく、そこに住まう人々の心と暮らしを豊かにするための真摯な探求であることを感じさせてくれる一連の紹介でした。

お話を聞いた私含め企画スタッフの間では、密かに「設計士濱田の本紹介第2弾」を計画しております。

次回の投稿は 5/19(月)「暮らしと向き合う人の、静かなこだわりとベストバイ」です!どうぞお楽しみに!

最後に濱田のキュートな写真を添えて。