2025/07/07
vol.7 「ブランドを、15秒に込めるということ」ー映画広告までの道のり
たった15秒に、何を込めるか
映画館で流れる、さまざまな企業の映像広告。
TOHOシネマズ梅田の大きなスクリーンに、ひかり工務店の映像が流れています。
たった15秒の映像です。でも、そこに込めたのは、私たちが今、大切にしている「ひかり工務店らしさ」そのもの。
見た人の記憶にそっと残るように──そんな想いから始まった、映画広告のプロジェクトでした。
映画という偶然性のある場所で、まだ出会っていない誰かとひかり工務店をつなぐ。
丁寧に、時間をかけて、かたちにしていった記録です。


映画広告という挑戦
始動したのは、昨年10月。
このプロジェクトに携わったのは、企画推進部の山田・近藤・花田の3人。
InstagramやHP、見学会の告知などを通じて、日頃からひかり工務店の「外への顔」をつくっているメンバーです。
「映画館のスクリーンに、ひかり工務店の世界観を映し出す」
それは、ただの動画づくりとは違いました。
ブランドの本質を、言葉より前に感じさせる。
見た人の中に“何か”が残るような、そんな映像を目指すところから始まりました。
はじめは既存の動画を編集し、実際に劇場で上映。
そのスケールの大きさに、スクリーンの持つ力と責任を痛感しました。
「伝わる重み」がそこにはあって、自分たちが作るひとつひとつが、会社の姿そのものになるんだという責任を、改めて感じさせられました。
そこから本格的に、“新たに創る”プロジェクトが動き出します。
すべての秒数に意味を持たせる
脚本、構成、ナレーション、音、人物、衣装、空間の切り取り方──すべてにおいて、“らしさ”を守りながら“伝わること”を追求。
一番の難しさは、情報を削ぐことでした。
何を語るかではなく、何を語らないか。
時間が短いからこそ、見せるものと言葉のひとつひとつに、迷いのない選択が求められました。
当初から「小野原モデルで撮りたい」と考えていた私たちは、大きな窓が象徴的なこのモデルで、外の緑が生きる事で一層魅力が伝わると考えていました。
しかし、撮影時期は真冬。枯れた森では、本来の空気感は届かない。
グリーンバック、AI合成、照明演出……あらゆる選択肢を検討した結果、
「時期を待つ」という選択をしました。
効率やスピードに流されず、納得できるものをつくるために。


細部にこそ宿る、ブランドの軸
5月、緑が戻ったタイミングで撮影は決行されました。
晴天のもと、カンペとタイマーを片手に、秒単位でリハーサルを重ねながら、
“いつ誰がどう動くか”を1秒のズレもなく厳密に決めて、本番に臨みました。
映像のほんの一瞬一瞬にも、手の動き、座る位置、視線の高さなど、動画の隅々まで細やかな設計が隠されています。
3パターンずつ撮影したカットは、編集段階で最も自然に見えるように繋ぎ合わされ、誰にも気づかれないような緻密な演出こそが、映像の印象を大きく左右します。
こうした細部へのこだわりの積み重ねによって、ようやく“ひかり工務店らしい15秒”が形になりました。
この15秒が、ひかり工務店と誰かをつなぐ入口に
放映が始まってから、1ヶ月ほどが経ちました。
「映画館で見たよ」という声を、少しずつ耳にするようになっています。
たった15秒で、誰かの記憶に残るというのは、決して簡単なことではありません。
けれど、「なんとなく気になった」「名前を覚えていた」。
そんなふうに、ふとした瞬間に思い出してもらえる――
そんな“種のような広告”でありたいと思って、私たちはこの映像をつくりました。
ブランドを伝えるということは、ただ声を大きくすることではなく、世界観を「守りながら、届ける」こと。
簡単な言葉では語りきれないものだからこそ、
映像や空気感で感じ取ってもらえると信じています。
ひかり工務店で家を建ててくださった方も。
これから建てることを考えている方も。
そして、はじめてその名前を知った方も。
この15秒が、それぞれの心にそっと残り、
ひかり工務店と誰かをつなぐ、小さな入口になりますように。
TOHOシネマズ梅田にて、現在も上映中です。
映画をご覧になる機会があれば、ぜひ広告にもご注目ください。

そして次回は、7月21日「街に惹かれ、住まいをつくった。谷町マンションモデルプロジェクト」公開予定です。
お楽しみに。

