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2026/04/06

vol.26 住まいの内側に、安心をつくる。

家づくりの現場には、完成してからは見えなくなる工程がたくさんあります。
壁の内側、下地の精度、納まりの美しさ。
住まい手の目には触れなくても、その一つひとつが、暮らしの安心を支えています。

この春で入社7年目を迎える今野は、ひかり工務店の「大工」として現場に立っています。
柱や壁、天井の下地を組み、住まいの骨格を整えながら、空間の輪郭を形にする仕事です。

「見えない部分にこそ安心をつくる」

そんな仕事に向き合う今野は、どんなきっかけでこの道を選び、何を大切にして現場に立っているのか、その原点と思いを聞きました。

はじまりは、木に触れる楽しさから

今野が「大工」という仕事に惹かれた原点は、小学生の頃にありました。

図工の時間、木を使って何かをつくるのが好きだったこと。
そして、下校中に見かける大工の姿が、かっこよく見えたこと。

手を動かしながら、目の前で形になっていく。
そんな仕事への憧れは、子どもの頃から今野の中に、自然と育まれていったようです。

出身は岩手県。
仙台の学校に通っていた頃には、すでに大阪で働きたいという思いがあったといいます。
理由は、「お笑いが好きだったから」
少し意外で、でもとても素直なものでした。

東北から大阪へ、一人で出てくることに迷いはなかったのか、そう聞くと、今野はこう振り返ります。

「どこで働くにしても緊張するのは一緒なので、それなら自分が行きたい場所で働こうと思ったんです」

不安がなかったわけではない。
それでも、自分の気持ちに正直に進む道を選んだ。
そのまっすぐさが、今野の歩みを支えてきたのだと感じました。

大阪での就職を考えるなかで、ひかり工務店のホームページを見た今野。
なかでも印象的だったのが、“お客様の声”に、大工自身がひかり工務店で家を建てていたことが紹介されていたこと。

家づくりを知る大工が選ぶ工務店であることに惹かれ、入社を決めたといいます。


任されることで、見えてくる景色がある

一つひとつの現場に向き合いながら経験を重ね、去年の秋頃から、今野は一人で現場を持つようになりました。

少しずつ一人で現場に立つ感覚を身につけてきたため、不安ばかりが大きくなることはなかったといいます。

それでも、自分で考え、判断し、進めていく責任はこれまで以上に大きくなったそうです。
なかでも難しさを感じたのは、現場のスピード感。
手を動かすだけでなく、全体の流れを見ながら納期に間に合わせていく。
その感覚は、一人で現場を持つからこそ強く意識するようになったといいます。

途中でも、安心を与える現場をつくる

今野が日々現場で大切にしている事。
それは、「作業の途中でも、見られて大丈夫な状態にすること」。
完成形だけを整えるのではなく、出来上がるまでの過程にも気を配る。

工事の途中でお客様が現場を見に来られた際に、不安にならないように。
まだ仕上がっていない段階でも、きちんと整っていて、丁寧に進めていることが伝わるように。

さらに、完成した後には見えなくなる部分こそ、きれいにしておきたいとも話します。
見えないから手を抜くのではなく、見えないからこそ誠実に。

その考え方の背景には、入社当初に「お客様が一番」という姿勢で一緒に現場に立っていた大工の存在があるといいます。
技術だけではなく、仕事への向き合い方を背中で教わってきたことが、今の今野の軸になっています。


不安があるから、前に進める

今野は、「現場が始まるたびに不安な気持ちは消えない」と率直に話してくれました。
けれど、その言葉は決して後ろ向きではありません。

不安があるからこそ、確認する。考える。丁寧に向き合う。
その積み重ねの先で、少しずつ自信を持てるようになっていきたい。
そんなまっすぐな思いが伝わってきました。

これまでには、「大工に向いていない」と言われたこともあったそうです。

「自分に向いている仕事なんて最初からわからないから、せっかくなら好きな仕事をしたい」

その思いで、7年。
好きだから続けられたのではなく、好きでいたいと思える仕事に、自分の手でしてきた7年なのだと思います。

現場に立つことは、木を扱うことだけではありません。
人の想いを受け取り、見えないところまで整え、自分自身とも向き合い続けること。

今野の仕事には、そんな大工という職業の静かなかっこよさが、確かに宿っていました。

次回のコンテンツは、4/13(月)です。どうぞお楽しみに。