2026/09/21
vol.38 住まいを見る、そのまなざし。
普段、ひかり工務店のInstagramやYouTube、ホームページを通して目にする写真や映像。
その向こう側には、空間のどこを切り取り、どんな順番で見せ、何を残すのかを考える人がいます。
企画推進部の山田も、そのひとりです。
山田が主に担当しているのは、YouTubeの撮影・編集や施工事例の撮影。ホームページや社内イベントなどで使用する映像では、撮るだけでなく企画や構成を考えるところから携わることもあります。最近では、キャッチコピーや文章を考える機会も増えました。
写真を撮ること。映像をつくること。言葉を考えること。
手段は違っていても、その根にあるのは、目の前にあるものの魅力を見つけ、それをどうすればきちんと届けられるのかを考えること。
今回は、普段“発信する側”にいる山田が、住まいを見るときに大切にしていること、その視線の原点、そしてこれから届けていきたいものについて聞きました。

「今、カメラがあったら」から始まった
そんな山田が初めてカメラに触れたのは、高校時代。
当時は自転車競技部に所属しながら、写真部にも入っていました。
始まりは、何か大きな目標があったからではありません。
「自転車に乗っていると、景色がすごくいいところを通ることがあって。『今カメラ持ってたら撮るのにな』と思う瞬間があったんです。」
そんな時、写真部に入ればカメラを借りられると知り、それならやってみよう、と入部。
そんなところから、写真との距離が少しずつ近づいていきました。
高校卒業後も、一直線に写真や映像の道へ進んだわけではありません。
別の分野を学び、自転車に関わる仕事も経験。そのかたわら、自転車仲間からカメラについて教わり、自分のカメラを持つようになります。
やがて偶然知り合ったバンドマンをきっかけにライブハウスへ通うようになり、ライブの写真や動画、イベントの撮影や配信にも関わるようになりました。
「これがきっかけでカメラを仕事にした、というより、人とのつながりの中で少しずつ増えていった感じですね。」
撮りたいと思ったときに撮る。
頼まれたことに応える。
その積み重ねの先で、いつしか写真や映像は、山田にとって「できること」のひとつになっていました。
ひかり工務店へ入社して間もない頃には、社外で行われる大きなイベントの撮影を任されたことも。
「撮り逃さないように、必死でした。」
そう笑って振り返ります。
最初から用意されていた一本道ではなく、出会ったものに向き合いながら、一つずつできることを増やしてきた。
その歩み方にも、山田らしさが表れているように感じます。


現場で、答えを更新する
山田の撮影は、現場に着いて初めて考え始めるものではありません。
撮影前には図面やパースを読み込み、スタッフ同士で「どこを撮るか」「この家のどこを見せたいか」を話し合います。
YouTubeであれば、どんな映像から始まり、どのように空間を巡り、どこで終わるのか。撮影する前から、一本の動画としての流れを頭の中に描いているそうです。
「ある程度、イメージを持って現場に入るようにしています。」
ただ、それは撮るものをあらかじめ決めてしまうということではありません。
図面やパースから、その家の魅力を読み取る。
ひとつのイメージを持ったうえで、実際の空間に立ってもう一度見る。
光の入り方や家具との距離、窓の向こうに広がる景色。図面だけでは分からなかったものに出会えば、それまで描いていたイメージも柔軟に組み替えていきます。
準備は予定通りに撮るためではなく、現場で出会った魅力を、より深く反応するための準備。
「この家は、こういうところがいい」という軸を持っているからこそ、実際に目にしたものを受け取りながら、その場でもっと伝わる撮り方へと変えていくことができます。
特に動画の冒頭は、「もう少し見てみたい」と思ってもらえるかどうかを左右する場所。
どこから始めれば、この家らしい空気が伝わるのか。
どんな順番なら、その魅力を自然に辿ってもらえるのか。
事前に想像し、現場で確かめ、また組み立て直す。
山田にとって撮影は、用意した答えをなぞるのではなく、目の前の空間を見ながら、より伝わる答えへ更新していく仕事だと言います。


作り手の意図と、ひとりの感覚
撮影するときに、「ひかり工務店らしさ」を意識しているのか。
そう尋ねると、山田から返ってきたのは少し意外な答えでした。
「ひかり工務店らしく撮ろう、とはあまり考えていないですね。」
そこにあるのは、もともとひかり工務店がつくった住まい。
設計や素材、空間のつながりには、すでにその家ならではの魅力があります。
だから、撮る側が“らしさ”をつくるのではなく、そこにある良さをきちんと見つけることの方が大切なのだといいます。
そのとき山田が見ようとしているのは、二つのもの。
ひとつは、設計者やつくり手が意図した良さ。
もうひとつは、山田自身がその場所に立ち、素直に「ここ、いいな」と感じる場所です。
「作り手が思っている良さと、自分がフラットに見たときに感じる良さ。どちらもちゃんと捉えたいです。」
図面や設計意図を知ったうえで撮影に向かう。
それでも、実際に住まいへ入ったときには、一度その前提を横に置いてみるといいます。
「企画推進部だから」
「撮影担当だから」
そんな役割を少しだけ外して、ひとりの人として空間を見る。
設計者が特別に意図していなかった場所でも、その場に立ってみると、思いがけず心を惹かれることがあります。
「“お客様目線になろう”と考えているわけではなくて。まず一人の人として見たときに、どう感じるかということだと思います。」
知っているから見えるものと、いったん知らないようにして見ることで気づくもの。
その両方を行き来することが、山田なりの、その家の魅力の見つけ方なのだと感じました。


一枚の、その先まで考える
写真を撮るとき、山田が考えているのは、その瞬間の美しさだけではありません。
素材の質感や、家具と空間の関係、光が落ちる場所。
空間全体を見渡しながら、ときにはぐっと近づいて、その家らしさが感じられる細かな景色にも目を向けます。
「全体が分かる写真だけじゃなくて、細かなところもいろいろな角度から撮っておくことで、その家の雰囲気がより伝わると思っています。」
さらに意識しているのが、その写真がこの先、どこで、どのように使われるのかということ。
ホームページで見るのか、Instagramで見るのか。
横長の一枚として見せるのか、一部分を切り取って使うのか。
撮影した瞬間だけで完結するのではなく、実際に誰かの目に触れるところまで想像しながら画角を考えています。
自分が撮りたいものを撮るというより、「何を伝えるための一枚なのか」を考える。
そして、動画ではさらに“つながり”を考えます。
YouTubeでは撮影から編集までを担当するため、カメラを回しているときから、完成した一本の動画を思い描いています。
「写真は一つの場所の一瞬を切り取るものですけど、動画は実際にその家を訪れたときの感覚に、もう少し近づけられると思うんです。」
部屋に入ったとき、窓の外の緑に目が向く人もいれば、照明やキッチンに惹かれる人もいる。
人の視線は、空間の中を自然に動いていきます。
その感覚を、引きと寄り、カメラの動き、映像の速度、そして音楽まで含めてつないでいく。
山田が動画で届けたいのは、家の姿だけではなく、その場所を訪れたときに感じる時間や空気なのだと思います。


“伸びる”の先に、残るもの
これから力を入れていきたいことを尋ねると、山田は「YouTube」と答えました。
SNSには、「こうすれば伸びやすい」「この構成なら見てもらいやすい」といった、さまざまな方法があります。
もちろん、発信する以上、見てもらうための工夫は必要です。
けれど山田が目指したいのは、数字だけを追う発信ではありません。
「動画としてちゃんと面白くて、ひかり工務店の建築の良さが伝わるものをつくりたいです。」
設計やデザイナーが考え、さまざまな人の手によって形になった住まい。その魅力を自分たちが深く理解し、映像として丁寧に届けていく。
「YouTubeを見て、Instagramで見たときよりも、もっといいなと思ってもらえるコンテンツにしたいです。」
ただ再生されるのではなく、見終わったあとに、その家の良さが少し深く残るもの。
山田が目指しているのは、そんな発信です。
山田が撮影・編集を手がける動画は、ひかり工務店公式YouTubeでご覧いただけます。
🔗ひかり工務店のYouTubeを見る
撮影について話を聞いていると、山田が大切にしているのは、単に「きれいに撮ること」ではないのだと感じます。
設計者が込めた意図を知りながら、一度それを脇に置いて、自分の目でも空間を見る。
そこで心が留まったものを拾い、どうすればその魅力を伝えられるのかを考える。
高校生の頃、「今カメラがあったら撮るのにな」と景色に目を留めていた山田。
仕事としてカメラを構えるようになった今も、目の前にあるものをよく見て、そこにある良さを見つける姿勢は変わっていないのかもしれません。
写真にするのか、映像にするのか、言葉にするのか。
その方法を選びながら、見つけた魅力を、まだそれを知らない誰かへ届けていく。
普段私たちが目にしているひかり工務店の発信は、そんな山田のまなざしの先から生まれています。
次回のコンテンツは、10/5(月)です。どうぞお楽しみに。

